おたふく蔵
お好み焼専門店が開発した冷凍お好み焼。
実は“突然の別れ”がきっかけとなっております。日々熱くなっていった想い。
その思いをこちらのページでは綴っております。是非こちらをご覧ください
寒いある日の夕方
11月のある寒い日の夕方、17時に開店してすぐに、一人のお客様が来店されました。
ガラガラー(扉が開く音
店長)「いらっしゃいませ!」
お客様)「店長、久しぶりやねえ。元気しよん?」
店長)「お久しぶりですぅ。元気ですよ。寒いので鉄板前のカウンターに座ってください!!」
お客様)「はい、ありがとう。ここはいつ来てもあったかいねえ。」
店長)「ここは鉄板がありますからねぇ。年中真夏ですよ(笑)」
そのお客様は、創業当時から来て下さっているご年配の女性でした。
まだ他にお客様がいらっしゃらなかったこともあり、色々お話していると、ふとお客様がつぶやきました。
お客様)「実は、来週から施設に入るようになってなぁー、、、もうお店にはなかなか来れんのやー。」
店長)「えっ!!」
お客様)「このお好み焼、施設でも食べれたらえーのになぁー。」
私はびっくりしました。お歳とはいえ、いつも元気な方だったからです。
お客様はちょっと寂しそうに見えました。
お店で提供している想い
現在、おたふく蔵が本当に提供したいのは、お好み焼きではないのです!!
少しびっくりされるかもしれませんが、実はお好み焼を提供しているのではないのです(苦笑
「おたふく蔵」では“温もりと幸せの提供”をさせて頂いております。
実は冷凍お好み焼を始めるにあたってこんなきっかけがあ
大切なお客様との突然の別れ
「いつでもこのお好み焼きが食べられたらいいのに…」
私が冷凍お好み焼きを作ってみようと思ったきっかけは、こんなお客様の声でした。
冒頭の、ある大切なお客様とのお話です。
創業当初から来て下さっていたお客様が、ご高齢で、少し遠方の老人ホームに入居することになりました。その施設に移る前日に、当店に来て下さったのです。
もうおたふく蔵には来ることができない。
そんな思いで最後に来てくださったのだと思います。
「冷凍お好み焼きを届けることができたら、いつでも、施設でも、うちのお好み焼きが食べてもらえるのに…」
お客様との最後の別れから、どんどん大きくなっていった想い。
いつの日か、こう想うようになっていました。
『私が焼いた熱々のお好み焼きを食べて、温もりと幸せを感じていただきたい!』
施設に入られるそのお客様にこそ、このお好み焼を届けなければならない。
そう強く感じました。
それぞれのお家で“温もりと幸せ”を提供できるかの挑戦
お店では、、、
おたふく蔵に来ていただくからには、<美味しいお好み焼を食べる>だけではなく、<人との温もり>や、<幸せの時間>を感じて頂きたく、お好み焼を焼いている様子がよく見えるカウンター席を準備したり、赤ちゃん連れのお客様がいらした時には、安心して座れる広いソファー席を準備したり、待ち時間も楽しんでいただけるように、メニューと一緒にニュースレターを置いたり、店長のキャラで楽しく盛り上げたり、、、色々な事をやってきました。
苦しい事や悲しい事があっても、このお好み焼を食べたら大丈夫!!
1枚食べると笑顔になれる、そういうお店がここにある!!
そんなお好み焼を提供したい!!
、、、そんな事を考えていました。
その一方で、お店だけではなく、お家でも温もりと幸せを提供できないか。
10年ほど前からそんな事を考えるようになりました。
挑戦のスタート:ここから試食と開発の毎日
まずは大手メーカーの冷凍を試食してみました。
値段は安いけど、、、原材料が何を使っているのかよくわからない。
商品自体が小さく、満腹感を得るのが難しい。
1セット10000円前後の冷凍お好み焼を取り寄せても、、、私の納得できる商品には出会えませんでした。
今のこの時代に“ない”ということは、相当難しいのだろう、、、
そう感じました。
冷凍お好み焼き=美味しくない
冷凍と言えば、「おいしくない」。そんなイメージかと思います。
私も数十社試食しましたが、これは美味しい!と思ったお好み焼は1社しかありませんでした。(悔しいので名前は伏せさせていただきます)
安いけど小さかったり、具が少なかったり、私がお客様にお届けしたいと思うものからはどうしてもはずれていました。
冷凍だと味は落ちる?その鍵はキャベツ
お店をやりながら、本気で試作を重ねて5年。
何度もお客様から大切な声を頂き、100回以上改良を行いました。
・レンジでチンした時、ボロボロになって楽しみにしていたのに残念でした
・食べた後に重たい感じがする
・真空とあるけど、1枚真空になっていなかって、早く食べないといけないと思った
などなど、、、
お客様の厳しいお声を頂けたからこそ、このお好み焼が完成したと感じております。
実は同じキャベツでも冷凍に向かないものもあります。
様々な産地のキャベツを厳選して、冷凍しても美味しさが変わらないものを選び抜きました。
また、最新の急速冷凍の機械を導入して、できたてを風味まで閉じ込めています。
冷凍したてのお好み焼は、-40度ですが“香り”がするのです。
その後真空包装にするため、冷凍であってもそのままキャベツの香りをお届けできます。
お店で食べる味とほとんど変わりません!
ようやく私自身も胸を張ってお届けできるものが出来上がりました。
届けて喜んでもらった
冷凍お好み焼が完成したら、1番に食べてほしいお客様がいました。もちろん、冒頭のお客様です。
施設に連絡を取り、面会させてもらいました。
お客様は元気な様子で面会ルームに出てこられ、楽しくお話することができました。冷凍お好み焼を手渡すと、すごく喜ばれ、「ありがとう」と言って頂きました。開発には時間がかかりましたが、頑張って良かったと思いました。その時の嬉しさは今でも覚えています。
店長の想い
冷凍のお好み焼から店長の“人間味”や“想い”、そして一緒に食事をする方との何気ない会話を楽しんでほしい。
ご家庭でも“人の温もりと幸せ”を感じていただきたいのです。
美味しいお好み焼を食べていることの幸せ、一緒に食事をしている大切な方と楽しい時間を過ごせる幸せ、それが明日への活力になると信じています。
このお好み焼を食べるとき、貴方の心に「温もり」と「幸せ」がじわーっと広がりますように。そんな想いで私は貴方のお好み焼を毎日焼き続けています。